真言宗の教え

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真言宗の教え

 


仏様の言葉・真実の言葉

 
真言宗の「真言」とは、古代インドの言葉でマントラと言い、仏様の言葉、若しくは真実の言葉という意味です。
真言宗は『大日経』と『金剛頂経』を根本経典とし、大日如来が中心の本尊様です。大日如来は、地・水・火・風・空・識という6つの要素で形成されている宇宙全体でもあります。一方、あらゆる仏様に姿を変えて私達をお救い下さいます。その仏様の願いは持物や印相で表され、その心は真言や種字、経典で私達に伝わります。大日如来はあらゆる仏様でもあり、宇宙の全てでもあると同時に、字という一文字でもあります。なので、大日如来の不生不滅の世界を字本不生と言います。私達はその字より生まれ出でて、字へと帰って行くのです。
『大日経』では、成仏の経路として三句の法門を説いています。それは自らに仏徳を有する心である菩提心が備わっている事に気付く事を起点とし、大日如来の大いなる慈悲に抱かれ、世間に利を施す事を極める事です。『金剛頂経』でも同じように、菩提心を自覚する(通達本心)・修行し菩提心を育てる(修菩提心)・菩提心を強固なものにする(成金剛心)・仏性を体現して菩薩となる(証金剛身)・永遠なる悟りを得る(仏身円満)の五相成身観が説かれています。
 
 

 

済世利人』『即身成仏』『密厳国土

 
宗祖・弘法大師(お大師様)は3つのスローガンを掲げられました。 
済世利人(さいせりにん)』『即身成仏(そくしんじょうぶつ)』『密厳国土(みつごんこくど)』です。 
『済世利人』とは、世界を救い人々に利益を施す事です。お大師様は鎮護国家の修法をされたり、綜芸種智院を創設されたり、満濃池を改修されたりしています。我々に対しては、殺さない(不殺生)・盗まない(不偸盗)・淫らな事をしない(不邪淫)・嘘をつかない(不妄語)・惑わさない(不綺語)・悪口を言わない(不悪口)・二枚舌を使わない(不両舌)・貪らない(不慳貪)・妬み嫉みを抱かない(不瞋恚)・悪い考えをしない(不邪見)の「十善戒」、更に「十波羅蜜の実践」を説いています。十波羅蜜とは、人に施す(布施波羅蜜)・戒律を守る(持戒波羅蜜)・世間の辱めに忍耐強く辛抱する(忍辱波羅蜜)・努力を怠らない(精進波羅蜜)・静かに仏の慈悲を思う(禅定波羅蜜)・仏の智慧を悟る(般若波羅蜜)の六波羅蜜と般若波羅蜜を細分化した方便波羅蜜・願波羅蜜・力波羅蜜・智波羅蜜の四波羅蜜を足したものです。更に、父母・国家・衆生・三宝(仏・法・僧)の「四恩」に報いる事も大切と説かれています。
これらの実践の上で、善き行い(身)、善き言葉(口)、善き思い(意)を重ねる事「三密行」を行う事で、亡くなってから仏になるのではなく、父母からもらったこの身体で仏になる『即身成仏』が達成出来ます。
最後に『密厳国土』ですが、これがお大師様の最終目標でした。密厳国土とは、この世を仏様の世界の様にしようという意味です。真言宗の教えは、我々が本来持つ菩提心に気づき、育て、世の中を救い人のために生き、全ての人々が生きたまま仏になることで、この世を慈愛に満ちた究極の地とすることなのです。
本宗の伝道標語『仏は生きている』は、この真言宗の教えを親しみやすく表したものです。